| 第5回:埋もれた来訪者 (アイアンジャイアント) |
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犬/アニメ博士かく語りき、第五回は「アイアンジャイアント」です〜。
ち/レンタル屋で、「コレが見たい」と差し出された時は正直、イヤだったんです。まるで聞いたことがなかったタイトルだし、ジャケットの絵にも惹かれなくて、しかもワーナーだし・・・。なんでだろうと思いました。 犬/そうっすね。私も全然知らなくて、タイトルを見かけた事ある?くらいだったんです。ところがどっかのニュースでピクサー(※1)の新作「ミスターインクレディブル」(2004年12月全米公開予定)の監督の紹介をしているときに過去の作品として「アイアンジャイアント」の名前が出たのをおぼえてまして、TSUTAYAの半額サービスの際に見るもんなかったので思いきって手に取ったわけです。私も怖かったですよ。 ち/ディズニー以外の長編アニメ映画って聞いたことなかったしねえ。 犬/まー有名ではないんですけどあるんですよ。「バルトー」とか「アナスタシア」(※2)とか。でも見た目はディズニーまんまですし、ヒットもないんですけど。その中でも今回はワーナーブラザーズでしたから、ちょっと賭けでした。 ち/ワーナーといえば、黄色い小鳥(ひよこ?)、黒い猫、グレーのウサギとか。いずれも瞳孔開いてて、躁状態みたいなキャラクターって印象しかなかったんけど・・・。 犬/博士、しぶしぶでしたからねー。しかもこの監督のブラッド・バードさんはディズニーを出た後、シンプソンズをやって名をなしたらしいですから、構図や動きがテレビっぽいとまずいだろうなあと思ってました。 ち/アトランティスもあったしね(笑)。で、見たんですが、コレがすごく面白かったんですよ〜〜〜!!!びっくりしました。 犬/最初の主人公登場のワンシーンが良くも悪くもシンプソンズっぽくて心配したのも束の間、ジャイアントの登場と遭遇でいっきに面白くなりましたな。15分見てもうひきこまれてました。 ち/展開が小気味よかったよね!私も、15分経った時点で、これはいけるかもと明るい予想が立ちました。 犬/ジャケットにもなってかと思いますが、この夜の針葉樹林の中にジャイアントの頭がひそんでいて目が光っているイメージボードがとても印象的でした。 |
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ち/初代ゴジラと同じで、日常風景の中にでかい何か潜んでいる感じを受けると、怖いよね。(ゴジラも確か、足音だけが聞こえてきて、最初にカメラに映るのは山の上に現れる頭なんだよねー)主人公が少しづつジャイアントに近づいていくのがドキドキでした。 犬/そう、ジャイアントのでかい感がすごいでてましたねぇ。日本のロボットものとたいして違いはない大きさなんですが、すぐ引きの絵で描いてしまってロボットサイズに慣れてしまった日本のアニメと違って、足から頭へ向かってなめるように、実写クレーン撮影のような動きで、見上げように角度をつけていくカメラワークが新鮮でした。 ち/その動きは、今までのアニメ技術ではちょっと作画が難しかったとこなんだよね。CG(3D)の性質を上手く利用した効果的な演出でした。 犬/この作品でジャイアントはフル3DCG、人物は手書きなんですが、ジャイアントの異物感(質感、巨大感)にうまくあてはめていて上手いと思いました。CG部分と手書きがはっきり浮いている作品はちょと興ざめするものですが、このジャイアントのCGは主線があり、それが細かくヨロヨロとしていてロットリングの手書き線みたいな震えがでているようで、なじむCGだったんですよね。線が均質なので機械っぽい感じではあったんですが、上述のような効果を出していて私はこのジャイアントだけで非常に成功していると思いました。 ち/CGをCGに見えないようにする工夫するって考え方を、はっきりと押し出している感じだったと思います。今まで見てきた手書きとCGの融合って、どーにも「ここはCGで描いてんだぜ、すごいやろ〜」という制作者のよく分からない自慢みたいなのが見えてたもんですが。 犬/作中で「ここはリアルに描きたい」という部分をCGで作るという考え方とジャイアントは完全に逆行していますからね。そうしたCG=リアル描写の道具という考え方だと、確かに卓越なCG映像に感心はしますが、作品の途中で突然CG鑑賞コーナーに突入したようで、せっかく引き込まれてのっていた視聴者はとっても興ざめするんですよねぇ・・・。映画館を出てマイクを向けられて出た感想が「すごいCGでした!」って何見に行ってるんだか・・・?と思いますよ。 ち/これは、もともと原作は絵本だったっけ?(※3)なんか、ロボット物なのに、そーゆーほのぼのした感じが壊されていなくて、世界観が好きだったなあ。 犬/ジャイアントと少年の友情が芽生えるくだりや、ゲイっぽいアーティスト(ゲイではないし男らしい)が理解をしめしてくれたり、少年時代を懐かしんだり少年心を思い起こす演出でしたね。しかも舞台設定が二次大戦直後の1960年前後のアメリカだったり、いい感じでしたね。軍隊が出動したら、すげーMPっぽいわジープで来るわ、敵と分かると即発砲するし、陸軍の手に負えないと、いきなり沿岸に待機した艦隊から艦隊射撃(!)。最後には艦隊から核ミサイルだし。日本人にとっては意外で面白かったですね。(※4) ち/アハハ、そうだね。あと、監督にとっての少年時代のリアルさや、少年に対する大人からの愛情を感じたなあ・・・。素直に少年の心を喜ばせようとする姿勢も感じました。そこが非常に好感触な印象の理由な気もするなあ。 犬/宮崎監督の描く主人公(特にラピュタのパズー)にリアルさがないように、日本のアニメの少年主人公は、決して自分の少年時代と重ならないです。 ち/そーだねー、どーしてなんだろ・・・???さて、話題は変わりまして、しょーもない事を言ってもいいでしょうか?(笑) 犬/なんですか、博士! ち/主人公の男の子の母親が・・・・可愛くてストライク!! 犬/ストライクって・・・。博士最近、なんというか少し年齢が上めの女性キャラにきますねえ。 ち/ええ、もうわたくしオバサンですから・・・。こーゆーこと言い出すあたりがもうオバサン化してる証なのでしょうか。トホホ。てゆーか、若いむすめさんはもう遠いんだよなー。しみじみ。も、もしかして、こーゆーことが大人になるってことですか??ブライトよ!(少々うろたえるわたくし。何言ってるかわかんなくなってます)(※5) 犬/違うと思いますが・・・。アイアンジャイアントで名シーンをあげろと言われたら、アレですね、ジャイアントが主人公の真似をして湖に飛び込むシーン。 ち/そう、そしてその後、水がザッッブーンと道に溢れるシーンが超おもろかった!!魚とかいてさ。 犬/サングラスに高波映るし。演出が冴えすぎてますね!思わずDVD巻き戻して(うそ)もう一度見てしまいましたが、もう一度見ても面白い。多分何度見ても面白いでしょう。 ち/あれは爽快だった・・・。 犬/最後に、この作品で秀逸だったのはストーリー構成、脚本ですね。小刻みに面白いシーンを入れつつ、全体としての流れがはっきりと良くできていて、変な言い方ですが実写の大人向け洋画レベルでした。核ミサイルを止めるためにジャイアントが行く前に少年に言う肝の台詞が、少年と出会った最初の会話を引用してビシリと決まるあたり、セッシャもう・・・。(※6) ち/最初になにげなくポイポイ投げられてた布石に無駄がないってゆーのは、大事です!!!よく錬られてる証拠ですな。そしてエンディング、よかったなあ・・・。観賞後の印象がすごくよかったです。うう(泣)。 犬/エンディングもやられましたよ。思わずハッとしましたからねー。良い作品でもエンディングが変な方向でストンと切られちゃうと見ていた者としてがっかりきちゃうのですが、こちらの考えるベストを上回る素敵なエンディングでした。 ち/全編を通してユーモアがちょっぴり効いてて、エンディングにも生かされてましたな〜〜。 犬/賞をとったのもわかりますな。隠れた名作です!! |
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| ↑少年ホガース。歯並びや顎の未発達さ、そして髪のぴよ毛が少年らしさをよく出しているデザイン。彼の言動の少年らしさがリアルだから、この映画はよくまとまっていると思う。 | |||||||||
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| ↑鉄クズを使ったアートを作る、芸術家のお兄さん。ジャイアントを排除しようとする大人達に対し、ホガース少年と一緒にジャイアントを守ろうとする。こういう役どころでこのキャラをもってくるのはいいセンスだなあと思う。やっぱりぴよ毛。ちぇるこ君はこの人が「ゲイっぽい」としきり・・・。女の人と仲良くしてるじゃん!ちなみにちぇるこ君は漫画「美味しんぼ」の岡星さんが「ゲイっぽい!」としつこく言っていた。「浮いた話もないし!」って、見た目で判断しちゃダメですが、本能が叫ぶんですか?? | |||||||||
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| ↑ちぇるこ君のストライク1!。喫茶店のウエイトレス姿で登場。 | |||||||||
TOPへ戻る 注1:「ピクサー」 フルCGアニメのヒットを飛ばし続けた会社。トイ・ストーリー、モンスターズインク、ファインディングニモと、子供とマニアのものだったアニメを誰もが見るメガヒット映画入りさせた。配給会社がディズニーという感じだったが、いつしかすりかえられてディズニーアニメの新作として紹介されるようになって、1年1本の新作を要求されている雰囲気がある。(詳しくはアニ語のCGアニメの回をお楽しみに)ミスターインクレディブルはスーパーマンのような古いアメコミヒーローもののパロディといった趣き。ヒットするか怪しい。ちなみにディズニーカンパニー自体もアニメ映画は作っているが、最近は誰も知らないことが多い。天国でウォルトさんは泣いているだろうか。 本文へもどる 注2:「ディズニー外アニメ」 ディズニーがアニメ映画で興行できることを示して以来、当然他社がそれに追従することがあったが、はっきりディズニーのクオリティやネームバリューにかなわないため、多くが消えてゆくか、低年齢向けのドタバタとなった。その中でも日本で見られるのは「バルトー」(犬ぞりを引くようなオオカミ犬の話だが、作りがほとんどディズニー)や、「アナスタシア」(ロシア皇帝の残した姫かもしれない女性の話。少し頑張って人間の物語だが絵柄がディズニー)。有名作はあまり聞かない。 本文へもどる 注3:「絵本」 原作は地球に降ってきたちょっと脳天気なアイアンジャイアントが巻き起こす騒動の話。ホガース君はあまり活躍しない。後半は宇宙の巨大害獣が地球を食べに来てしまい、とんち比べのような問答でアイアンジャイアントがやっつける荒唐無稽な子供向けのお話になっている。少年とのホラータッチの出会いや、心温まる交流、実は殺戮兵器であったジャイアントと軍隊との対決や結末のオチなど、非常に良くできた構成は全て映画オリジナルのものである。 本文へもどる 注4:「日本人にとっては意外」 作中で、町中で、陸軍や町民も一緒にいるにも関わらず、ジャイアントへ艦隊から核ミサイルが発射されてしまうというシーンがあるのですが、核ミサイルが成層圏ぐらいの高さまであがっていく白いミサイルの軌跡を見ながら、意外なことに町民や陸軍の人達がいきなり逃げるのをあきらめはじめ、抱き合ったり、身を寄せて死を待つというシーンがありました。冒頭でも核ミサイルが来た場合はどうするという教育を小学生にしているシーンもあったのですが、アメリカ人の核に対する教育というものに非常にびっくりしました。自分だったら絶対慌てて逃げまどうだろうなあ。動揺もせず静かに空を見上げて死を待つ様子が描かれたので、ショッキングでした。核ミサイルが落ちた後どういう被害が出たかということについて日本人は知識としてよく知っているがために恐怖が先に立ち、アメリカの人は具体的によく知らないので死の訪れの象徴と捉えるのでしょうか?そのへんの感覚のズレがわかってびっくりしたシーンでした。(犬) 人々の、生き残るのをあきらめる早さと、ただ死をまつだけの静けさがすごく怖かったです・・・・。(ち) 本文へもどる 注5:「ブライトよ!」 ブライトとは、ガンダムのあの人です。幼い頃から見ているせいか、ブライトが上官、自分の目上の大人であるという象徴のキャラだという気持ちがあるんです(笑)。自分もいつかあの立場に行くのだろうなと感じてましたが、とっくに過ぎ去ってました。ブライトって18歳だし。とほ。 本文へもどる 注6:「セッシャもう・・・」 アフタヌーンの漫画「ラブやん」のセリフの影響です。ろり、オタク、プーの主人公がラブ天使の力を借りてもまったく更生できない漫画。というかセリフの勢いだけで面白い漫画。 すぐこういうの使ってすいません。 本文へもどる |
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