| 第2回:千切れた風景 (千年女優・東京ゴッドファーザーズ) |
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犬/博士、最近雑誌などで、「日本のアニメ」監督をよく取り上げてますねえ。
ち/世界で儲かることが分かってきたから、わざと盛り上げようとメディアがとりあげてるだけじゃないの?何を今更。 犬/なんか博士、キャラ冷たいですねぇ。でも、宮崎駿、押井守、大友克洋の三人が監督作品あつかいで有名ですけど、なんだか最近、TSUTAYAで今敏監督作品の特集コーナーが作られてたりするんですよ。 ち/ああ、あの、名前がすぐに読めない人。私、「いま・びん」だと思ってました。 犬/イマビンですか?イマジンか、おやびんみたいですね。でも僕も「コン・ビン」だと思ってました。 ち/こんなふうに人の名前のこと言うの、失礼なんじゃない?・・・でも、確かに初めて見てすんなり読める人はいないよーな気がするけど。 犬/というわけで、今回は今敏(こん・さとし)監督の劇場作品2本、千年女優(2002)と東京ゴッドファーザーズ(2003)でーす! -------- ち/たまには私から聞いてみようか。犬丸君、どうでしたか? 犬/え!僕ですか?!えーーーっと(汗)、千年女優はいままで何度か手に取ろうとしつつ、何か地味そうなオーラが私をためらわせてきたのですが、見てみると、最初の15分で意外に面白そうだなあと思いました。 ち/そうだね、私も始まって15分で「お!」と思いました。(※1)わくわくしましたね!「期待していいのか!?」と。 犬/千年女優は、往年の女優のファンの小プロダクション社長が、失くした物を届けた御礼に、彼女に昔の話をインタビューをするというストーリーなのですが、回想シーンの中に直接その社長とカメラを回している青年が出てくるのが面白かったですねぇ。 ち/まず、笑っちゃったね。回想シーンがモノクロというか、全体に褪せた色合いで、その社長と青年だけが鮮やかなカラーだったのも面白かったな。 犬/二人が思い出の中で見守っているだけじゃなくて、当時の情勢に参加したり巻き込まれたりしてきちゃう様が笑えました。しかし、カメラマンの青年もつっこんでましたが、お話を追っている途中でいきなり場面が変わるんですよね。扉を開けた瞬間に、彼女がデビューしたお芝居の中になったり、慣れてきた頃にまた違う作品になったり。舞台裏の女優人生と芝居とが、台詞や行動をKeyに切れ目なく変わってしまってびっくりでした。 ち/東京ゴッドファーザーズもそうだったけど、場面展開が強引と言うか突然すぎて、(しかも何回も)びっくりすることが多かったな。それが狙いなのか、言いたいことなのか、いまいち掴めませんでしたけど。 犬/東京〜ではいきなり救急車つっこんできましたからねえ! ち/私、劇場で見なくてホント良かった。その場面もいきなりで凄かったけど、ホテルのウエイターが突然ヤクザの親分に発砲したり、人がビルから飛び降りかかったり「ああ〜、危ない!!」とかいうとこで、何かまた起きたりして、ハラハラしっぱなしでした。 犬/「危ない〜!」って言ってましたね。 ち/うるさいな。 犬/・・・アクションは小気味よかったですね。 ち/うん、よく動いてた。カメラのアングルも、構図も見ていてスピード感あふれてて、画面に見入ったな。 犬/小ギャグもきいてましたね。 ち/そうそう、くすりと笑う感じ。間がもってたと思う。 犬/東京ゴッドファーザーズの方は中年男性、中年オカマ(※2)、家出女子高生のホームレスの三人が捨て子の赤ん坊を拾ったことから、親を捜して年末の東京をさすらうというお話でしたが、こんどは博士に聞きましょう。第一に印象に残ったのは何でした? ち/新宿の街を、よくあそこまで細部に渡り描き込んだなあという印象でした。汚いとこも、華やかなとこも。愛を感じたなあ。 犬/ホームレスの暮らし、ヤクザの結婚式、外国人街、オカマバー、なんか裏側を好んで描いてましたねー。「ごちゃごちゃ含めて社会を描く」じゃないですけど。 ち/うん、でもね、よく描いてはあったけど、描いたことによって何を訴えたいのか、何を考えているのか、結局分からなくて・・・。「おもしろいな」とは思えなかったんだよなあ。 犬/面白そう、で止まってる・・・ですか?でも、ホームレス狩りする若者や、家出少女、捨て子に母子と別れたホームレスなど、家族というテーマが一応あったように思えましたが? ち/確かに、そうかもしれない。でも問題提起で終わってるように思った。見終えた後に、自分の考えと照らし合わせたりして「ふーん、あなたはそうなんだ」って思えなかったんだよね。 犬/なるほど!確かに登場人物の考えや行動で物語が展開するのではなく、いきあたりばったりで、ご都合主義的に話が進んじゃいます。 ち/千年女優もそうだったけど、せっかく面白く楽しめたのに、見終えた後の寂寞とした気持ちが静かに襲ってきて、寒かったのも正直なとこなんだよー。面白かったのにさ!残念だった。 犬/痛いですね・・・。ダイの大冒険の空烈斬のように核をまっぷたつにです。 でもっスタジオマッドハウスの美術はすごかったじゃないですか〜。都庁から夜の新宿中央公園へ下がって来るところとか、朝焼けの冬の住宅街の向こうを中央線が走っているシーンとか・・・。 ち/うん、あれは職人技だったね!こだわりを感じました。監督が美術さんに要求したらしいですね。おまけのメイキング画像で、インタビューされた美術のスタッフさんが「ディティールでディティールを描きつぶした」と仰ってましたね。 犬/妙なリアルさで。広告とか店の看板とか別に制作して貼り込んだって言ってましたねえ。 ち/普段、自分が何を見ているのか、を再認識させられたようでした。苦笑したな。 犬/千年女優でもたっくさんの映画シーンの連続で、純愛もの、戦国もの、忍者もの、女囚もの、大正ロマンもの、怪獣もの、未来もの・・・と出てきて凝ってるなあと思いました。 ち/あれは、ただ監督が好きでやりたかっただけでしょ。それ以上のものは感じませんでしたが。 犬/ぎょっ。そういえば博士は見終わった後、脱力してましたが・・・? ち/それは、見ている間は面白かったんだけど、エンディングを知って見終わった後、急に冷めて監督の趣味につき合わされて振り回されただけという感じがわき起こってきてしまったからです。だから、何だったの?って感じでしょうか。 犬/は、博士、血が止まりません! ・・・千年女優も東京〜も、海外でジャパニメーションとして評価されたようなんですが、なんだか、美術の壮麗さやリアルさばかりコメントされている感ありますねぇ。 ち/それが直接映画のテーマと結びついて、効果的だったらいいと思うんだけど、ただ綺麗なだけじゃな〜。 犬/いろいろ、上手だったんですけどねぇ・・・15分の法則、登場したばっかりですが。 ち/それが覆されたのもちょいショックだった・・・ずーん。 犬/・・・ところで、博士、この企画、痛い系(※3)ですか? ち/てゆーか、私のキャラ、これでいいのか? 犬/自然体です。 ち/なに〜〜!?(怒) TOPへ戻る 注1:「15分の法則」 最初の15分で過ぎた時点で面白くなかったら、結局最後まで面白くない、という多数の経験から生まれた法則。もとは「5分の法則」で、犬丸が「これ見ようヨ!」と借りてきた洋画が、5分経ってもつまらないままだとちぇるこ君の顔が「あぁん?」という顔になってしまうことから生まれた。静かに始まる作品もあることから15分ということで法則化された。経験則だが、カメラワークや展開がいまいちな作品には高確率であてはまる。 本文へもどる 注2:「中年オカマ」 オカマ、は蔑称です。オネエ、が差別を感じない呼び方です。その人自身が「私オカマだから」と言ってるのはわざと自分を蔑んで呼んでいるようなのが多いです。ここでは作中でこうした表記を用いていたのでそのまま引用しています。 本文へもどる 注3:「痛い系」 内容がいっちゃってて、その状況がはたで見ていて痛い、という意味ではありません。ちぇるこ君のコメントがストレートに物言うので、聞いてて何も言えなくなるという、痛烈さを痛みと表現している感じです。一文字で言うと「S」かな? |
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| ↑自転車で桜並木を疾走。千年女優はなんか常に走っていたイメージです。最初に好きになった人に一途、みたいなシチュエーションが気に入る人もいれば、女優と老いをそこに見る人もいるようだ。最後の「私はあの人を追いかけている私が好きなんだもの」という台詞は賛否両論、深読みする人もいて、いろんな人にとって衝撃的だったようだ。 | ||||||||||
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| ↑東京ゴッドファーザーズの三人組みの一人、みゆきちゃん。この子の声が声優っぽくない自然な声でよかった。残りのふたりも声優さんじゃないらしいが、もごもごして聞き取りにくかったのが残念。それにしても似てない絵ですんません・・・。 | ||||||||||