「渡り廊下から4階の音楽室の中がほんの少し見えます。夕方になると窓から女の子が校庭を見ていることがあります。でも行くと誰もいないそうです。」
「アンサンブル部の三年で、音楽室で知らない女の子が窓から校庭を見ているのを見かけた人がいます。普通の女の子だったそうです。ただ、その人が言うには、着ている制服がとても古い型だったそうです。」
「校庭で部活をしているとき、よくピアノが聞こえていました。きまって夕暮れどきで、日が落ちると聞こえなっちゃう。誰が弾いているか先生に聞いたことがあるけれど、結局教えてくれなかったなあ。」
「アンサンブル部では有名な噂があります。私が知っているのはこんな話です。
アンサンブル部のボーンパートにK清君という男の子がいたそうです。ある日、彼が階段の上で練習をしていると音楽室から聞こえるはずのないピアノの音が聞こえてきました。不審に思った彼が音楽室に行ってみると、扉がわずかに開いていて、そこに知らない女の子がいたそうです。なんでも発表会のために練習していたそうで、上手く弾けないということでした。その曲を知っていたK清君が、ふと、一緒に弾いてみることを思いつきました。こうして二人はセッションをすることになったのです。」
「夕暮れのセッションを聞いた人は何人かいます。K清君の友人は渡り廊下からトロンボーンを吹いている彼を見かけたそうです。しかし彼のほかに誰もいなかったのでピアノのテープを相手に演奏していると思ったそうです。・・・この後、音楽室でその女の子を見かけることはなくなったといいます。」
「これは先生から聞いた話ですが、昔、発表会を前に事故で亡くなった女子生徒がいたそうです。彼女は発表会のために毎日音楽室で熱心に練習していて、いつも夕暮れになるまで帰らなかったそうです。彼女が音楽室に現れる女の子なのか、それはわからないと先生はおっしゃっていました。ちなみに発表会の演目はトロンボーンとの二重奏だったそうです。」
「僕は昔、音楽室で不思議な女の子と会ったことがあります。発表会を前にいくらピアノの練習をしても落ち着かないと内気そうに言っていました。その曲が僕の好きな曲だったので、その子と一緒に演奏したんです。すごくいいセッションでした。ところが演奏が終わると女の子はピアノの前に立って、どこか遠くを見るような目つきでじっとしてるんです。僕が大丈夫って声をかけようとしたら、小さい声で「ありがとう」って言いいました。それから・・・。それからは言えないな。言っても信じないだろうし。」
K清の瞳
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